「祝祭音楽劇トゥーランドット」観劇

copanda2008-03-29

亜門さんの演出で、美術は松井るみさん、照明は中川隆一さん。これだけでもなんて豪華な世界レベル。他のスタッフも一流の方ばかりで、しかも話題の劇場の柿落とし公演。
そんな舞台に安倍さんが出るというので、期待していました。ここで頑張れれば、次に繋がる。なっちの将来だけじゃなく、娘やハローの真価が問われるような気すらして、大きすぎる期待をもって見に行きました。
なっちの魅力はヲタとして分かってるつもりだし、なっちは特別だって知ってるけど、だけどさ、やっぱり不安もあったわけです。どこまで出来るかなって・・・。
28日の夜公演を、いつもの雪ぐまたん、さるもたんと見に行きました。なっちの晴れ舞台ですから、当然13500円のS席です。
大枚をはたいた甲斐がありました。想像を絶する変貌ぶりでした。
リボンの騎士」や「白蛇伝」のなっちとは別次元のなっちがいました。もう「なっちはなっち」なんて言えません。
正直、ここまでやってくれるとは思っていなかったから、度肝を抜かれた感じです。きっとこの作品は、なっちのターニングポイントになると思います。絶対に次に繋がると思います。一般のお客さんたちにも、「なっちってこんなに歌えるんだ、こんなに芝居もいいんだ」って思ってもらえたと思います。
ということで、雪ぐまたんとさるもたんと、なっち大絶賛の祝杯をあげてきました。


ここからはネタバレ要注意。

なっちの歌とせりふ

最初のひと声を聞いただけで、いつものなっちじゃないって思いましたけど、こんなに腹から声の出てるなっちは初めて見ました。
高音のファルセットも綺麗だし迫力あるし、低音域も響いてるしで、おおーって感じでしびれましたが、せりふも良かった。一人芝居みたいな芝居は一切してない。ちゃんと相手に掛かってて、いま初めてその言葉を聞いて、それに対して心が動いたからこう言ったっていう、ちゃんと生きたせりふでした。
前半絡みの多い北村有起哉さんが軽妙な芝居をしているので、その対比もあって、なっちの芝居が良い意味で重厚に感じます。だから、明るくて可愛いっていう類型的な女の子像じゃなく、ちゃんと人間的な魅力が掘り下げられていると分かります。コパンダには、愛を知っていて強くて、自分のことと同じように他人を思いやれる女性に見えました。それが伝わってくるっていうのがすごい。
終わってみれば、せりふのトチリは一切なくて、今回のなっちがどれだけこの作品世界に入っているかってことを感じました。
ときどき口で息をしてる音が聞こえたので、5月末までの長丁場の公演で、喉を痛めないといいですけど、なっちは喉強そうだから大丈夫かな。

心に響いたせりふ

「なんのために、ではない。生きていることが尊いのです。」
日常会話とは違う、すごく芝居的なせりふだと思いますけど、すごく説得力をもって届いてきました。

天使になったなっち

愛と正義を貫いて、なっち演じるリューは死んでしまうんですけど、同様に誰かのために身を挺したミンとティムールと共に、ラストシーンで現れます。国の平和と人々の幸福を見届けるなっちの姿はまさに「聖なる人」で、なっちが天使になった瞬間でした。
トゥーランドット役の方が存外に俗っぽい芝居をするので、余計になっちが聖人に見えます。

装置

松井さんの真骨頂というべきダイナミックな装置が、パズルのように転換します。
メイン装置の逆ピラミッドみたいな階段セットは高さがあって、その上にいる人と下にいる人の格差とか越えられない壁とかを表していると思うんですけど、それだけに、1階席で下々の目線で見るのと、2階席からトゥーランドット目線で見るのとでは、だいぶ印象が違うと思われるので、何度か見に行く方は、両方見たほうが楽しいかと。
ほぼ完璧なシンメトリーな装置なので、やっぱ中央で見たほうがスケールを感じられると思います。
迷える森になったり、国や人々の混乱を象徴したりする吊り物は、最初は絵紗幕かなと思ったんですけど、軽い金属でスカシてあるのかな。紙かもしれない。照明のおかげでとっても綺麗で複雑だからいろいろ見ちゃうんですけど、気を取られないように要注意。

亜門さんありがとう

ゆいたいです
なっち自身をこんなに楽しませてくれて、我らヲタにこんなにすごいなっちを見せてくれて、ひいてはハローの未来に明るい光を射してくれて、ありがとうございます。「太平洋序曲」以来あんまり見てませんでしたけど、これからは見ます。

ヲタ的良席

オケピと最前席の間の通路をわりと使いますが、そこでなっちのとても良いシーンがあるので、1階最前の中央ブロック上手寄りは神席。
そこが高騰しすぎなら、1階のやはり中央ブロックの下手寄り通路も、なっちがよく通ります。
コパンダたちは2階最前という良席をいただきましたが、表情まで見たいなら双眼鏡が必要です。


ティムール役の文学座小林勝也さんが大好きなので、なっちとチームを組んでくれたことも嬉しかったです。
太一くんの芝居は初めて見ましたが、人気がある理由が分かりました。今回の座組の中では格段にうまいし色っぽいですね。雪ぐまたんが虜になってました。
次のハロー観劇は「かば」。メロンさんもがんばれ。