座長公演「白虎隊」

copanda2007-10-04

見てきました。ひとりで。
雪ぐまたんとさるもたんは、その間の℃-uteさんのゲキハロを見て、ハロ内演劇への気力が失せ、コパンダもそれは同じなのですが、吉ヲタとして行かないわけにはいきませぬ。
コパンダが見て、舞台作品としてすんごく楽しいものになっていたら、2人を誘ってまた見にいこう、という決まりになっていたのですが・・・。
(ここから盛大にネタバレです)


がんばって、ポジティブに書いてみます。

よっすぃ〜四変化

七変化ならぬ四変化くらいしてくれます。変化と言っては大袈裟ですが、四つの扮装が楽しめます。どれも大変お似合いで、よっすぃ〜の美しい姿だけで、全身に溜まった汚れたものが、きれいに祓い清められた気分です。
〈トレンチコート〉幕開きは、白っぽいトレンチコート。もうね、かっけーったらないです。ヅカヲタの方にも見ていただきたいほどの、見事なトレンチコートっぷり。こういう格好で、探偵もののドラマのお仕事とかあったら幸せ。
〈少年剣士〉ポスター同様の、少年剣士風の刺し子の剣道着姿でも登場してくれます。本編とあんまり関係ないけど。この姿で、花音ちゃん以外のハロメンが、剣舞を披露します。殺陣じゃなくて剣舞でした。よっすぃ〜生成りで、柴ちゃん、あっちゃん、サトタさん、コレちゃんが紺色なので、これまたヅカの和物で、男役トップスターが、後輩の男役を引き連れている感じで素敵でした。少年剣士姿を見られただけで、見に行った甲斐があります。あーよかったよかった。
〈メイド服〉よっすぃ〜がお手伝いさんとなって、崩壊寸前の柴ちゃんの家庭に潜入します。コパンダは萌えませんが、黒のミニドレスに白レースのエプロンというメイド服。ま、メイドとお手伝いさんはイコールでしょうし、実際にお手伝いさんがこういうメイド服で働いている上流家庭もあるのでしょうが、そんな上流なはずのお父さん役の背広の着こなしがヨレヨレでだらしなく、安サラリーマンにしか見えません。このお父さんのことを、メイドのよっすぃ〜が「ご主人様」と呼んでいましたが、ふつーは「旦那様」じゃないですかね。いい加減すぎるよ台本。
〈スターブーツ〉最後は、白のストライプのピシっとしたシャツ、しかもダブルカフス(袖口の布を折り返してカフスボタンで留めてる)に、黒のスリムなパンツ、そして黒のロングブーツ。残念ながら膝上まではないので、「リボン」のときに履かせてもらったスターブーツじゃありませんけど、コパンダにはスターブーツに見えた! たいへん麗しかったことは言うまでもありません。

よっすぃ〜のせりふの優しさ

今回とても印象に残ったのが、よっすぃ〜の発語(せりふの言い方)というのは、優しさに満ちているということです。
よっすぃ〜に惚れてる者ならではの受け止め方だとは分かっていますが、この優しい喋り方にますます惚れます。よっすい〜の声から溢れる優しさが、この軽薄短小な物語の設定を補います。
技術的にも、「リボン」で習った基本に忠実に、母音をしっかりと発音し、一言一言、気持ちを込めて喋っているので、コパンダには、ひと言たりとも聞き取れないところはありませんでした。ウィスパーのところも充分に聞こえてきました。
よっすぃ〜のもっている、この声の優しさと姿の美しさは、やっぱり、舞台より映像向きだと今回も思いました。どうかこの魅力を生かせる映画のお仕事をお願いします。
舞台は梨華ちゃんのほうが迫力がありますね。エネルギーの出し方が、舞台での表現に向いていると思います。

ガッタスメン+あっちゃん、花音ちゃん

柴ちゃんは第二の主役、というか、お話的には柴ちゃん視点。メロンさんたちは去年から小劇場の舞台をやっていますが、誰にもちゃんと教わらないで、よくこれだけやってるなと思いました。
シスコムーンヲタとしては、あっちゃんも見どころでしたが、ニュースキャスターの役なのでじっと立っていることが多く、もっと動いてるあっちゃんが見たいなと。歌もダンスもないわけで。
サトタさんはヘキサゴンネタ等もあり笑わせどころを一手に引き受けていました。分かっていても面白い。
コレちゃんも頑張っていました。とっても可愛い声でびっくり。すごい高い声が出ていたのは、元々なのか緊張のためなのか。コレちゃんを見ちゃうとこっちも緊張するのであんまり見ないようにしましたが、どうしても目がいきます。全身ガチガチで非常に力んで立っています。舞台に不慣れな人特有の癖で、手のやり場に困っています。お腹の前で手を組んだり、だらっと下に垂らしたりを繰り返します。日を追うにつれ、この癖が減ると思いますので、これから見に行く方は、この癖の回数で成長の過程を計れると思います。
いちばん落ち着いていたのは花音ちゃんですねw せりふも澱みなくナチュラルだし、相手のせりふもよく聞いているので、しっかり体が反応して動けるって感じ。ふつーに上手い。上手いのに、達者な子役の嫌らしさみたいなのは全然なくて、好感もちました。難しい「空咳」も上手で驚きました。喉を痛めないようにね。パンフレットを見てびっくり。あいりーん・岡井ちゃんと同い年なのね。岡井ちゃんの妹と同じくらいかと思っていました。数年後には、ハローの表舞台で大活躍しているのでしょうか。

りかちゃ〜ん!

よっすぃ〜が「りかちゃん、りかちゃん」連呼します。「りかちゃ〜ん、りかちゃ〜ん!」と叫んで火の中に飛び込むよっすぃ〜萌え。花音ちゃんの役名が「りか」なので。

座組の力

どんなにてきとーな物語であろう、ハローのみんながこれだけ出ていると、座組の力に救われます。基本的な信頼感がしっかりとあって、お互いの努力を認め合っているので、それだけで舞台の芯が保たれていると言うか。座組の信頼関係って、作品にそっくり反映されますからね。そこらの一朝一夕のプロデュース公演には真似できません。だからこそ、もっと一般の人に見てもらえる舞台をやってほしいんだけど。

台本のこと

ここからは、作品そのもののことをうざく書きますので注意してくださいw
台本の評判がとても悪いですが当然です。
成金で家庭を顧みないお父さん、浮気をしてるらしいお母さん、ニートの長男、家族と社会にイラついてる長女(柴ちゃん)、学校でいじめられてて犬を虐待してる次女(花音ちゃん)、という崩壊した家庭を救うべく、白虎隊の精神を受け継いだ世直し隊「日新館」のメンバーであるよっすぃ〜がやってくる。
百歩譲ってこの設定はありだとしても、それぞれがなぜ病んでしまったかという核心には手をつけないので、なんだか分からないけど「気の毒な人たち」っていう前提になってしまいます。
なぜよっすぃ〜が、こんな厄介な世直し業に命をかけているのかも描かれないので、それは生まれつきの正義の味方なんだと納得して見るしかありません。実際、よっすぃ〜の眼力でもって「ならぬことはならぬものです!」と言われれば、誰でも平伏してしまうと思うので、この背景の省略はまだ許容できます。
もっとも残念なのは、和解のきっかけとなる火事のシーンです。
なぜこんな豪邸の前に消防車が来られないのかもご都合主義にもほどがありますが、放火によって家が焼けて、すべてを失って初めて、いちばん大切なものは何かを知る、みたいなオチも安直すぎます。
家庭崩壊の末、子どもが親の首に斧を振り下ろす時代に、家が焼けたくらいで心が通じ合う、という展開が、演劇をやっている人の発想とは思えません。演劇は時代を映す鏡であるはずなのに。がっかりです。
燃え盛る家の中に、ひとり取り残された花音ちゃんを助けに行くのはよっすぃ〜で、お父さんとお母さんは外でバケツの水を掛けてるっていう役立たず。これでどうして和解できるのか、まったく理解できません。「千と千尋」のように、豚になったお父さんとお母さんは、子どもに救ってもらってもなお豚以下の精神だった、というような辛辣な社会風刺はどこにもありませんでした。
せりふも状況説明ばかりで、芝居の言葉と、日常の言葉の違いを考えてみたこともないような台本書きの人だと思いました。

暗転のこと

転換のために暗転が多用されていましたが、ひどい暗転でした。よくテレビ出身の演出家が、こんなふうにシーンごとに暗転させますが、特にひどいです。
20秒近い暗転も何度もあって、そのたびに、出演者が一生懸命に演じた熱が、ゼロに戻されます。暗転は死の時間、という演出家もいる程、暗転には細心の注意が必要なのに、死にっぱなしの舞台でした。
しかも、溶暗(だんだん暗くなる)が多かったので、あーまたシーンがひとつ死んでいくー、みたいな悲しみを伴いました。
だいだい、上手と下手に別空間を作っているんだから、暗転する必要はないと思うんですけどね。かたっぽだけ暗くして捌けていけばいいじゃんね。
クライマックスの火事のシーンですら、暗転でバッサリ切っていたのには驚きました。まだ花音ちゃんが家の中にいるのに、もう次の日になったのかと思ったよ。

舞台装置のこと

下手は柴ちゃんちのリビングの具象の装置、上手はあっちゃんとサトタさんがいるテレビ局のスタジオを抽象っぽく見せる装置。
遠近法を使って、ナナメに線を切ってはいましたが、真ん中ががらんとしているので、空間を埋めるのは役者の存在感にゆだねられています。
テレビ局のほうに向かって大きく段差が作られ、家庭のリビングのほうが低い作りになっていたので、この段差でマスコミの権力とかを表しているのかとも思いましたが、それほどの意味はないと思います。だとすると、役者の体に負担をかける不自由なだけの段差です。
下手の階段の横に、変な戸棚が置いてあるなぁ、突然納戸みたいで変だなぁ、と思っていたら、花音ちゃんが入るために必要だったのね。

本日のお客様

今日はハロメンがいっぱい。
最後列の中央に、開幕直前にわらわらと入ってきました。
コパンダが確認したのは、さゆ、亀ちゃん、れいな、ジュンジュン。各種レポによると、娘はほとんど全員いたみたいで、お腹のちょっと大きくなった辻ちゃん梨華ちゃんも来ていたみたいです。


ということで、吉ヲタなら、楽しみどころもある、というレポでした。ちなみに、吉ヲタ的には下手の席がおすすめです。しばし、よっすぃ〜と見つめ合える時間がありますし、よしかの(吉澤×花音)の抱擁も下手です。
ひどい長文にお付き合いいただいて、ありがとうございました。「リボン」のときのように、大絶賛の長文じゃないのが残念です。